便秘外来
便秘外来を開設しています
便秘それ自体は病気ではありませんが、不快な症状として日々のストレスとなります。一方で、「恥ずかしい」あるいは「体質だから」といった理由で、受診に至っていないケースが少なくありません。
しかし多くの便秘は、食事や生活習慣、排便習慣の見直しによって改善が可能です。また中には大腸などの病気を原因として起こる便秘もあります。
便秘でお悩みの方は、ぜひ一度当院の便秘外来にご相談ください。便秘の原因を調べた上で治療・生活習慣指導などを行い、辛い便秘の解消を図ります。
便秘とは?

便秘とは「本来体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態(慢性便秘症診療ガイドライン)」とされています。便通の頻度よりは、排便が快適にできない状態を便秘と言います。日頃から排便してもスッキリしない、強くいきまないと排便できない、薬を服用しないと排便できないなどの症状も便秘に含まれます。
「〇日以上排便がないと便秘」と簡単に定義できないのは、食生活や1回の排便量などが人によって異なるためです。つまり、2日に1回の排便であっても、快適に十分な量の排便ができていれば、便秘ではないといえます。
逆に、毎日排便があっても便が硬く辛い思いをしていり、少ししかできずに不快感が残る場合には、便秘であると言えます。そういった個人差を考慮しても、3日以上排便がない場合は一度、医療機関で検査を受けることをおすすめします。
こんな症状がある方は便秘外来へ
以下のような症状がある場合には、便秘外来にご相談ください。
- 3日以上排便がない
- 便が少ししか出ない
- 残便感がある
- 排便後もお腹が張っている
- 排便回数が減った
- 便が細くなった
- 便が硬く排便が辛い
- 便秘と下痢を繰り返している
- 血便があった、便潜血検査陽性
- 便秘になってから肌の調子が悪い
便の状態を観察してみましょう
便は、身体の状態を表すバロメータの1つです。以下の「ブリストル便形状スケール」において、3~5以外に該当する状態が何日も続く場合には、便の異常と捉え、受診するようにしましょう

便秘の種類
便秘にはさまざまな原因があります。その原因に応じて、機能性便秘と器質性便秘に分けられます。
弛緩性便秘
大腸を動かす筋肉が緩み、腸の内容物を先へ先へと運ぶ蠕動運動が低下して怒る便秘です。食物繊維の不足などの生活習慣の乱れや加齢が主に影響して発症します。
痙攣性便秘
大腸が痙攣をお越し、蠕動運動が適切に行われないことにより怒る便秘です。ストレスが影響していると考えられます。
直調性便秘
直腸神経の働きが低下し、便意を感じにくい。排便現象が起こりにくいことで発生する便秘です。排便を我慢している人、女性に多くみられます。
薬剤性便秘
抗うつ剤、抗コリン薬、咳止めなど腸の動きを抑制する作用のある薬によって起こる便秘です。通常休薬したり薬の種類を変更することで解消されます。
器質性便秘
器質的な原因(臓器自体に何らかの異常がある)によって、内容物が腸をうまく通過しないために起こる便秘です。 原因として以下のようなことが考えられます。
- 大腸がん
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)
- 甲状腺機能低下症
- パーキンソン病
- うつ病
など
便秘になりやすい人の特徴
便秘は、男女別では女性によく見られる症状と言えます。特に、50歳以下では男女に明らかな差があります。
また男女関係なく、加齢に伴う食事量・運動量の低下、筋力の衰え、基礎代謝の低下により、年齢を重ねるにつれ便秘で悩む人は増えていきます。
50歳以下で男女差が顕著な理由としては、以下のようなものが考えられます。
女性の方が便秘になりやすい?
便秘は、男性より女性に多い症状です。女性に便秘の方が多い原因について説明します。
女性ホルモン(黄体ホルモン)
月経の前には、黄体ホルモンという女性ホルモンが増加します。黄体ホルモンには大腸の蠕動運動を抑制する作用があるため、特に月経前に便秘になる女性が多くなります。
筋肉量が少ない
女性は男性と比べると、筋力が低い傾向にあります。腸を動かすための腹筋においても同様の傾向が見られるため、女性の方が便秘になりやすいと言えます。
ダイエットする機会が多い
男性と女性を比べると、食事を抜くなどの無理なダイエットをする人は女性に多く見られます。
食物繊維の不足などにより、便秘を引き起こすことも多くなります。また脂肪分の摂取が過剰に少なくなると、便の通りが悪くなり、便秘の原因になることがあります。
クセになりやすい便秘薬の使用
薬局に行けばさまざまな便秘薬が販売されていますが、市販の下剤の多くには生薬やアロエなど大腸を刺激して排便を促す刺激成分が含まれています。腸の神経を刺激して無理やり動かすので、即効性がありスッキリ感を得やすい反面、使い続けると大腸の神経叢が障害され効果が得られなくなってしまいます
刺激性下剤は便通が得られず、週2回以内を目安に「腸をリセット」する目的で使用するに留め、他の連用しても身体に害のない緩下剤へとシフトしていくことが重要です。
以下の下剤は、刺激性下剤にあたるものです。レスキュー的に使用するくらいでは問題ありませんが、これらを連日使用されている方は当院にご相談ください。
- センノシド・センナ
- プルゼニド
- アローゼン
- セチロ
治療
生活習慣の改善

食生活の偏りや運動不足、睡眠不足などがあれば、その改善のための指導を行います。
便意がなくても毎日決まった時間にトイレに行く、便意を感じた時には我慢しないといった排便習慣の改善も大切になります。
便秘解消におすすめの食べ物
便秘解消には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂取することが重要です。不溶性食物繊維は便のカサを増やし、水溶性食物繊維は便に潤いを与えて排便を促します。両方をバランスよく含む食品としてはバナナやキウイフルーツが代表的です。
また、キウイフルーツは食物繊維の他に、アクチニジンと呼ばれる酵素によっても消化や胃腸の動きを促して便秘を改善する効果と、腹痛を減少させる効果が知られています。一方で、食物繊維の摂りすぎが、お腹の張りをかえって悪化させる場合もあるため、注意が必要です。
他にはオリーブオイルやナッツ類などの良質な油脂を摂取することも有効です。便の滑りが良くなり、便通が改善します。ナッツは塩分を含まない、素焼きのものを選びましょう。また油脂はカロリーが高いので過剰摂取には注意しましょう。
便秘解消におすすめの飲み物
起床後や就寝前に白湯を飲むことをお勧めしています。胃腸を温め、水分を補給してあげることでスムーズな排便を促します。日中もこまめな水分摂取を心がけましょう。
薬物療法

便秘の状態やタイプ、生活習慣などに応じて、便秘を改善するためのお薬を処方します。
ただ、症状の現れ方には個人差があります。長く続いた便秘がすぐに解消するとは限りません。お薬の量を調整したり、種類を変更したりしながら、便秘の改善・解消を目指します。
各種検査
既述していますが、大腸に器質的な原因(臓器自体に何らかの異常がある)によって、内容物が腸をうまく通過しないために起こる便秘もあります。原因として大腸がんの可能性も否定できません。気になる方は大腸内視鏡を受けるようんしてください。場合によってはCTなどが必要になることもあります