新しい肺炎球菌ワクチン「キャップバックス®(Capvaxive)」について

2025年、日本で新たに承認された肺炎球菌ワクチンキャップバックス®(Capvaxive) は、成人における肺炎球菌感染症を予防するための最新ワクチンです。
一生のうち1回接種するだけで生涯免疫を獲得できます。これまでのニューモバックスのようの5年に1回接種する必要がありません。
海外ではすでに接種が進んでおり、日本でも2025年10月から接種が開始されました。
肺炎球菌とは?

肺炎球菌は、健康な人ののどや鼻の奥に存在することのある細菌ですが、
体力や免疫力が低下すると肺炎・中耳炎・副鼻腔炎・敗血症・髄膜炎などの重い感染症を起こすことがあります。特に 高齢者・糖尿病・心疾患・呼吸器疾患・腎疾患 などをお持ちの方は、
重症化しやすく、命に関わることもあります。
その予防に有効なのが肺炎球菌ワクチンです。
キャップバックス®の特徴
- 現在国の定期接種で使われているニューモバックスNPは40年前にできたワクチンで、肺炎球菌のカバー率56%ですが、キャップバックスはカバー率80%です
- キャップバックスは「結合型ワクチン」と呼ばれ、一度接種すると一生肺炎球菌ワクチンを接種する必要はありません。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 対応する血清型 | 21種類(21価) |
| ワクチンの種類 | 結合型ワクチン(免疫記憶を形成) |
| 対象 | 成人(18歳以上) |
| 接種回数 | 原則1回で完了 |
| 発売開始 | 2025年10月 日本国内で接種開始 |
| 販売会社 | MSD株式会社(米国Merck & Co., Inc.) |
これまでのワクチンとの違い
これまで日本では主に以下の2種類の肺炎球菌ワクチンが使用されてきました。
現在補助金の対象となっているワクチンはニューモバックスNPです。
| ワクチン名 | 型数 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| プレベナー13(PCV13) | 13価 | 結合型 | 免疫が長く続くが、型の範囲が限定的 |
| ニューモバックスNP(PPSV23) | 23価 | 多糖体 | 幅広い型をカバーするが、免疫が長持ちしない |
| キャップバックス®(Capvaxive) | 21価 | 結合型 | 広い型をカバーし、長期の免疫が期待できる最新型 |
つまりキャップバックスは、結合型ワクチンの長期的な免疫力と、幅広い型のカバー範囲を兼ね備えた新世代のワクチンです。
接種費用

自費での接種のみとなります(補助金対象外です)
効果
- 肺炎球菌による肺炎、敗血症、髄膜炎などを予防します。
- 臨床試験では、既存ワクチン(PCV13)ではカバーできなかった型の感染も予防できることが示されています。
- 1回の接種で長期間免疫を維持できるとされています。
接種スケジュール
- 1回の接種で完了です。
- すでにプレベナー13やニューモバックスを接種した方も、1年あけることでキャップバックスを接種できます。
副反応
一般的には軽度で、数日以内におさまります。
| 症状 | 頻度 |
|---|---|
| 注射部位の痛み・赤み・腫れ | よくある |
| 倦怠感・発熱 | 時々みられる |
| アレルギー反応(発疹・息苦しさなど) | ごくまれ |
強い副反応が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
接種をおすすめしたい方
- 65歳以上の方
- 糖尿病・心臓病・慢性肺疾患・腎臓病などのある方
- 免疫が低下している方(抗がん剤の治療中、ステロイド内服中など)
- 喫煙者、過去に肺炎にかかったことのある方
医師からのメッセージ
肺炎は日本人の死因の上位に入る病気であり、特に高齢者では入院や命に関わることもあります。
キャップバックス®は、これまでのワクチンよりも広い菌型をカバーでき、長期にわたって感染を防ぐことができる新しい選択肢です。
これまで肺炎球菌ワクチンを受けたことがない方、
あるいは過去に受けてから数年経過している方は、ぜひご相談ください。