痔核注射療法について

痔核注射療法について

痔核の治療「ジオン」について

当クリニックでは内痔核を切らずに注射で治療する、『ジオン注射療法』を行っております。

  • この治療には、痛みを伴うことはありません。
  • 【脱出を伴う内痔核】【出血を伴う内痔核】にジオン注を投与して痔に流れ込む血液の量を減らし、痔を硬くして粘膜に癒着・固定させる治療法です。
  • 早い方で翌日には脱出、出血は認めなくなります。

「ジオン」はどんな薬?

ジオン注の有効成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸というものです。

硫酸アルミニウムカリウム・・・出血症状や脱出症状を改善する。
タンニン酸・・・硫酸アルミニウムカリウムの働きを調節する。

手術を受けたいのですが…?

まず一度ご来院いただき診察と採血検査(一般採血、感染症検査)高齢者は心電図検査を受けていただきます。

この術前診察により、手術日時をご本人様と相談して決定します。

実際の手術の流れを教えてください。

下着をつけたまま砕石位(出産のときのようなスタイル)になっていただきます。
女性は検査衣と紙パンツをご用意しますので着替えていただきます。

おしりから「肛門鏡(左画像参照)」を挿入します。
手術中は、何度か出し入れする必要があります。このとき痛みを伴わず、充分肛門が開くようであれば麻酔の必要はありません。(ほとんどの方は、麻酔は行わずに手術可能です。)
引き続き、ジオン注射液を注入していきます。このときも痛みを伴うことはありません。
ジオン注射液を注入した周囲に浸潤さすように、指でマッサージします。

ジオン注はひとつの痔核に対して左図のように4ヶ所に分割して投与します。
これは痔核に薬剤を十分に浸透させるための方法で四段階注射法といいます。

処置後、1時間ほどクリニックで休んでいただきます。その後、徒歩で帰宅していただけます。
翌日、1週間後におしりの状態を診察させていただきます。術後の通院は1回/週×1ヶ月、その後は半年後まで1回/月していただきます。

「ジオン注」を行うとどうなるの?

投与後の早い時期に痔核に流れ込む血液量が減少し、出血が止まります。脱出の程度も軽くなります。

投与された部分がすこしずつ小さくなり、引き延ばされていた支持組織が元の位置に固定され、早い方では、翌日から脱出がみられなくなります。

副作用は?

下記のの副作用は、必ず起こるのではありません。頻度については術前に説明させていただきます。

それ以外に何か変わった症状が出るようであれば、ご連絡下さい。

手術の費用について

痔核注射療法/ジオン(ALTA)療法

内痔核(疣痔)に対して、ジオンを注入する治療法です。当クリニックでは保険適応で施行しています。手術時間は痔の個数により左右されますが約20分前後です。入院の必要はありません。下記費用にはジオン注射剤の薬剤料も含まれています(術後内服の費用は含みません)。

費用(健康保険3割負担の場合)約15,000円〜

よくある質問

ジオン手術前について

前の日はどんなことが必要ですか?

手術前日の寝る前に、あらかじめ処方された下剤を内服していただくだけです。夕食の時間、内容などに制限はありません。

当日には、どんなことが必要ですか?

特に何もありません。朝食もいつも通り食べていただいて結構です。昼食は術後にとっていただくか、すこし早い目(11時くらい)に軽くすませてください。

ジオン手術について

手術は日帰りですか?

はい。日帰り手術を行っています。

自分で車を運転して行ってもいいですか?

術後の早い時期に、血圧が下がる・脈が遅くなる・気分が悪くなる・極端な場合意識レベルが下がる(ぼーっとなる)などの症状が出ることがあります。自分で車を運転しての来院は控えてください。
ご家族の運転での来院は全く問題ありません。

では自転車に乗って行っていいですか?

術直後に自転車に乗ってもいいか、控えた方がいいか…を比較した正確なデーターが存在しません。
しかし術直後はおしりに負担のかかる(血流の悪くなる)ような行為は控えた方がよいと思います。自転車、バイクでの来院も控えていただいたほうがよいと思われます。

麻酔をするのですか?痛いですか?

痛みをともなう手術ではないので、麻酔は原則的には必要ありません。
肛門鏡を挿入する時に痛みを伴う場合のみ局所麻酔(肛門周囲に注射器での麻酔)を使用します。ただ術後に「おしりの重たい感じがする」「便が残っているような感じがする」などの違和感を感じられる方がいらっしゃいます。

手術時間はどれくらいかかりますか?

15~20分で終わります。

ジオン手術後について

手術直後にすぐ帰宅できますか?

手術終了後40~60分ほどクリニック内で休んでいただきます。

手術直後から仕事に復帰できますか?

上述したように、発生頻度は少ないですが術後早い時期に様々な合併症がでることがあります。手術当日は、自宅でゆっくりしていただくことをお勧めします。

では、いつから仕事復帰できますか?

正確なアンケート調査をしたわけではありませんが、お話を聞いていると仕事内容にもよると思いますが、軽い作業(デスクワークなど)をされている方は、翌日から復帰されている方が多いようです。(ただ手術の翌日は、かならず受診していただいています。)
重労働作業(力をかける仕事など)なら、約2週間は無理をされないようにお話ししています。

術後の通院は、必要ですか?

はい。合併症の早期発見のためにも以下のペースで必ず通院して下さい。手術後、半年は経過をみることが必要です。
(手術翌日、術後7日目、14日目、21日目、1ヶ月目、以降半年後まで1ヶ月に1回の受診)

手術はすべて保険適応ですか?費用はいくらくらかかりますか?

健康保険適応です。3割負担の方で15,000円〜(使用薬剤量による)です。(術後服用していただくお薬の費用は含んでいません)
【日帰り手術】の手術給付金がおりる場合もあるので、一度ご自信の生命保険会社にご相談してみてください。

合併症について

合併症について教えてください。
早期合併症
循環器系の症状脈がおそくなる、血圧がさがる、動悸がする など
消化器系の症状吐き気がする、下腹部が痛くなる など
肛門の症状出血、痛み、肛門周囲の重たい感じ など
その他ぼーっとする、だるい感じがする、一時的に排尿しづらくなる。
自覚症状を伴わない発熱(38〜39度前後)
晩期合併症
熱発術後7〜10日目に38〜39度の熱が自覚症状もなく、発熱することがある。翌日には自然に解熱することが多い。2〜3日続く場合もある。解熱剤の内服が有効。
肛門狭窄(肛門が狭くなる)ジオン注入部に一致して、肛門括約筋が硬くなり狭窄(狭くなる)を呈することがある。ほとんどの場合、保存的に軽快する。
潰瘍形成による出血ジオン注入部に一致して潰瘍ができ、そこから出血することがある。ほとんどの場合止血剤の点滴などで止まるが、場合によっては「縫合」が必要になることもある。
当クリニックでの合併症発生頻度(2020年12月末日現在)
合併症発生頻度処置内容経過
循環器系の症状0.05%全症例処置の必要なし軽快
局所の硬結0.4%全症例無治療で軽快軽快
術後数時間の排尿困難8.5%1人のみ導尿全症例数時間で改善
熱発2.5%抗菌剤点滴2名、他治療必要無し数日後に解熱
肛門狭窄0%  
潰瘍形成による出血0.002%1名止血術、他保存的治療で軽快軽快

※肛門の症状:肛門周囲が重たくなるという症状は比較的多いですが、短時間で軽快するのでデーターとしてあげていません。