切れ痔

裂肛(切れ痔)について

裂肛について

歯状線より下側の肛門上皮にできた裂創を裂肛(切れ痔、裂け痔)といいます。

この部分は知覚神経支配のため強く痛みを感じます。
とくに刺激が内括約筋に及びけいれんを誘発すると、排便後数時間に及ぶ痛みが継続することもあります。(この排便後痛は裂肛に特有の痛みです。)

痛みの為に排便を我慢するようになり、便秘になります。
こうなると傷が慢性化して肛門潰瘍となり肛門が狭くなってしまいます。
そしてますます便が通りにくくなり、傷がひどくなるといった悪循環を繰り返します。

痛みは排便時と排便後もしばらく続きます。出血は紙につく程度〜便器に血液が垂れるなど様々ですが、排便後もジーンとした痛みがつづくようなら肛門狭窄の可能性もあります。

裂肛の治療

1)便秘予防

排便のたびに痛むのが辛く排便を我慢しようとするため、さらに便秘がひどくなり固い便を排出するので裂肛がさらに深く切れ、慢性化する…という悪循環を来すため、まずは便秘の予防が大切になってきます。

2)薬物療法

内痔核(いぼ痔)の軟膏を「排便後・入眠前」に裂孔部分に塗布することにより、痛みを抑え創の治りを早めます。

3)手術療法

裂孔が慢性化し、内括約筋に達する程のえぐれた肛門潰瘍を繰り返していると、肛門の弾力性が失われて肛門狭窄になります。肛門狭窄をきたすと手術適応となります。(当クリニックでは行っておりません。専門施設をご紹介いたします。)

手術の費用について

肛門周囲膿瘍 切開術

くだ痔(痔瘻)に合併して、肛門周囲に膿(ウミ)が溜まった場合に切って膿を出す手術が必要です。局所麻酔で行い手術時間は約10分位です。

費用(健康保険3割負担の場合)約6,500円

肛門周囲膿瘍の原因として、必ず痔瘻が存在します。排膿のみでは肛門周囲膿瘍は必ず再発します。排膿し、ある程度炎症が落ち着いた時点で、局所麻酔下で痔瘻に対する根治術が必要になります。

肛門ポリープ切除術

局所麻酔を行い、主に結紮を用いて切除します。大きさにもよりますが手術時間は1箇所につき約10分です。

費用(健康保険3割負担の場合)約3,500円

よくある質問

診察について

おしりから血がでました。痔でしょうか?

確かに痔の可能性が高いです。しかし痔がきっかけで大腸ガンがみつかる場合があります。ガン発生頻度の高い直腸癌、S状結腸状癌はおしりからの出血が初発症状のことが多いのも事実です。おしりからの出血があれば、内視鏡で全ての大腸の検査をすることをお勧めします。
(「肛門科」と「内視鏡検査」をしているクリニックが多いのはこのためです。)

診察がはずかしいんですが…。それと診察は痛いですか?

患部以外はシーツで覆い、左肩を下にして横向きの状態で行います。
痛み止めのゼリーを使用しますので、痛みをがまんして無理に診察することはありません。

日帰り手術、痔の治療について

痔にはやっぱり手術が一番いいのでしょうか?

痔核(いぼ痔)、裂孔(切れ痔)の軽いものは、おしりから入れる軟膏や座薬で改善する場合がほとんどで、手術適応症例のほうが少ないです。但し、痔瘻は何らかの手術を含めた外科的処置が必要です。

日帰り手術って、初めて行ったその日にしてくれるのですか?

肛門周囲膿瘍の切開・小さな肛門ポリープ切除などは当日に施行できます。
内痔核の「痔核注射療法(ジオン注射療法)」をご希望の方は、一度診察させていただき手術適応があれば手術日を予約していただきます。

日帰り手術後は、いつから仕事に復帰できますか?

仕事の内容にもよりますが、基本的に翌日より可能です。

毎日消毒に通う必要がありますか?

原則的に消毒に毎日通う必要はありません。1日1回の消毒より排便後のシャワー洗浄の方がずっと清潔に保てます。
ただ大きな肛門周囲膿瘍の切開後は、クリニックで膿(ウミ)が出た後の洗浄が必要になることもあります。

車で行っても大丈夫ですか?

ジオンを注射した後に一時的に血圧が下がったり、除脈(心拍数が下がる)などの症状がおこり意識が薄れるような状態になることがあります。
ジオン注射を受ける予定の方は自らの運転での来院はしないで下さい。

痔核注射療法、ジオン注、ALTA療法の手術について教えてください。

ジオンの「よくある質問」はこちらをご覧下さい。

痔の手術は、すべて保険適応ですか?

当クリニックでの手術はすべて保険適応です。費用に関しては、こちらをご覧下さい。