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過敏性腸症候群(IBS)と小腸内細菌異常増殖症(SIBO)について

お腹の調子がずっと気になる…「お腹が張る」「お腹が痛い」「便が出にくかったり急に下ったりする」そんな症状、もしかすると「過敏性腸症候群(IBS)」か、さらに「小腸内細菌異常増殖症(SIBO)」という状態が関係しているかもしれません。
明らかな器質的な異常(炎症・腫瘍など)がない場合でも、腸の中の【環境】【動き】【細菌バランス】が影響していることがあります

どんな症状が出るの?

IBSの典型的な症状

SIBOの症状も似ていて、次のようなものがあります

つまり、IBSと思っていても「SIBO が関わっているかどうか」を検討することで、原因がよりはっきりして対応を変えられる場合があります。 

なぜ起こるの?

腸管運動の異常によるもの

 私たちの腸と心(脳)は、実は密接につながっています。腸を動かすスイッチは自律神経(「交感神経/副交感神経」)が大きく関わっており、ストレス・緊張・不安・睡眠の乱れといった心や生活の状態が腸の働きに影響を及ぼします。
 例えば、緊張していると腸が過敏になり、ガスや便が少しでも動くだけで「もうダメだ!」と感じることがあったり、逆に緩んで便通が滞ったりします。こうした「腸-脳軸」の乱れが、IBSの症状を引き起こす要因の一つと考えられています。

腸管形態異の異常によるもの

「腸の動き(ぜん動)には目立った異常はないし、腸の形も検査では特に捻じれや狭窄が認められなかった…それでも“便通がうまくいかない”“排便時に強い痛みが出る”という方がいらっしゃいます。その原因の一つに、“腸管の形態異常”という状態が考えられます。

具体的には、例えば体が細くて腸を支える脂肪や隣接臓器が少ない方の場合、腸(特に大腸)が骨盤内に「落ち込む」ように位置がずれていたり、腸のループが長いことで、腸が捻じれやスクなったり・曲がりが強い形になっていることがあります。こうした形のくせがあると、内視鏡を挿入しにくかったり、内視鏡時に痛みが出やすかったり、また日常的に腸の内容物の通過や便の排出がスムーズでなく、便通障害や排便時の痛みを引き起こす原因になり得ます。

つまり、検査上「正常」であっても、実は「腸がたるんだり落ち込んだりしている」という目には見えにくいことで便通に影響を及ぼしている可能性があるということです。」

胆汁酸によるもの

「内視鏡検査で腫瘍や明らかな炎症がなく、腸の運動や形に問題もないのに、食事をするとお腹がゆるくなる」という方がいらっしゃいます。
その原因の一つとして、食事をすることで働き始める「胆汁酸」が関係している可能性があります。

肝臓で作られた胆汁酸は、胆のうにためられ、食事をとると胆のうから小腸へと流れ出ます。
そして、通常は小腸で大部分が再吸収され、残りが大腸にごく少量だけ流れ込みます。

ところが、なんらかの理由で「小腸での胆汁酸再吸収がうまくいかない」「胆汁酸が過剰に小腸から大腸に届いてしまう」体質の方では、届いた胆汁酸が大腸内で水分を多く引き込み、また大腸の動きを活発にしてしまうため、結果として“食後に下痢”を起こしやすくなります。

SIBOによるもの

小腸に本来あるべき以上の細菌が増えることで起こる状態です。以下のような背景があります

  • 小腸のぜん動運動が低下し、食べ物や細菌が「滞る」ことで細菌が増殖する。
  • 胃酸低下、手術後の構造変化、免疫・腸内環境の変化などがトリガーとなることもあります。
  • IBSとSIBOの関係:SIBOがIBSの症状を悪化させる・あるいはIBSの患者の中にSIBOを持っている割合が高いという報告があります。 

セリアック病によるもの

下痢型IBSと類似の症状を起こし、見逃される可能性があるのがセリアック病です。

麦の成分のグルテンに対する「遺伝性」自己免疫疾患で日本では多くはないとされ、保険適応がないことから検査自体も行えません。

放置されると栄養障害から体の不調をきたすこともあり、セリアック病か否かを知ることに意味があります。 

抗組織トランスグルタミナーゼ抗体で診断が付くのですが、グルテン制限を1年以上行うと陰性化してしまうので、制限していないタイミングでの検査が必要です。(検査は自費になります)

セリアック病は小腸粘膜障害から消化不良下痢を起こすため、腸内発酵からガスが発生することが多いことから腹部X線と呼気中の水素濃度の測定も併せて行うことがあります(自費)。 

放っておいて大丈夫?

当院での診察・検査の流れ(IBS・SIBOを含めて)

当クリニックでは、以下のような流れで対応いたします:

  1. 問診・生活習慣の確認
    お腹の痛み・便通の状況・発症タイミング・ストレス・食事・睡眠・既往歴(手術歴・胃腸の既往)などをお伺いします。
  2. 器質的異常の除外検査
    • 血液検査・便検査・腹部超音波検査
    • 必要に応じて胃カメラ・大腸カメラ
      これにより、腫瘍・炎症性腸疾患・その他の明らかな病変がないかを確認します。
  3. SIBOも視野に
    腸の動きが悪い・症状が典型的・他の治療で改善が乏しい場合には、小腸内細菌の異常増殖(SIBO)を含めた検討も行います。
  4. 診断・分類
    症状・検査結果から、IBSか否か、SIBOの可能性があるかを整理し、必要な対応を決定します。
  5. 治療・生活指導
    • 食事・生活習慣の改善(腸にやさしい食事・規則正しい生活・適度な運動・睡眠)
    • 薬物療法:便通の調整・腸の過敏性を抑える薬、SIBOが関係していれば抗生物質なども検討。
    • 腸内環境の改善・ストレスマネジメントも重要です。
  6. フォローアップ
    生活習慣にかかわる改善には時間がかかることがあります。定期的に症状・便通・生活習慣をモニタリングし、支援していきます。

あなたができること(セルフケアのポイント)

日常生活でまず取り入れていただきたいポイントです。

当院の特徴

こんなときは早めにご相談ください

よくある質問

Q:過敏性腸症候群(IBS)と 小腸内細菌異常増殖症(SIBO)はどう違うのですか?

A. どちらも「明らかな炎症・腫瘍など器質的異常がないのに、お腹の痛み・便通の異常・ガス・張り」などが続くという点では共通しています。
 ただし、SIBOは「小腸内に本来多くないはずの細菌が増えてしまった状態」で、便通異常・ガス・腹部膨満・栄養吸収異常などを引き起こす可能性があります。 
 IBSは“腸の動き・腸‐脳連携・腸の過敏性”など複合的な機序が考えられており、SIBOとは必ずしも同じではありません。当院では、IBSと疑われた方でも「SIBOが関わっていないか」も視野に入れて診察・検査を行うことで、より原因に応じた対応が可能です。

Q:SIBOと思ったらどうしたらいいですか?

A. まずはお腹の不調が続く、おかしいと感じたら早めにご相談ください。器質的な異常を除外する検査(血液・便・腹部超音波・必要なら胃カメラ・大腸カメラ)を行った上で、SIBOの検査や可能性を含めた診断を検討します。
 SIBOの治療には抗生物質・腸内環境改善・食事・腸の動きの改善などが関わります。 
 また、自分で「単に我慢して様子を見ておこう」というよりも、症状が長引く・変化がある場合には早期の受診をおすすめします。

Q:食事だけでSIBO/IBSが治りますか?

A. 食事・生活習慣の改善は非常に重要ですが、食事だけで完治できるとは言い切れません。特にSIBOでは抗生物質や動きの悪くなった腸のケアが必要なことがあります。
 IBSにおいても、食事・ストレス・運動など生活全体を整えることが症状改善に大きく寄与します。
 当院では、「検査による原因把握」+「生活習慣の改善」+「必要時の薬や専門治療」の3本柱でサポートします。

Q:どんな検査が必要ですか?

初めに腹痛・便通異常・張りなどの症状を詳しく伺い、血液検査・便検査・腹部超音波検査を行います。器質的な異常(腫瘍・炎症など)がないかを確認します。
 必要に応じて胃カメラ・大腸カメラを当院でも緊急に対応可能です。
 SIBOが疑われる場合は、小腸内細菌検査(例:呼気検査)を検討することがあります。

Q:再発・予防にはどうしたらいいですか?

腸の動きを良くする、腸内環境を整えることが重要です。
 – 規則正しい食事・食べる時間間隔の確保(特にSIBOでは、食事の間隔が短すぎると腸内容が“滞る”ため症状を悪化させる可能性があります)
 – 適度な運動・十分な睡眠・ストレスケアも大切です。
 – トリガーとなる食べ物(高FODMAP食品・刺激物など)に気をつける。 
 – 再発・慢性化を防ぐためには、原因となる腸の動き・構造・環境を整えることが鍵です。 当院ではフォローアップを通じて継続支援します。

過敏性腸症候群と小腸内細菌異常増殖症

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